« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007/08/25

デッドゾーン

Deadzone

ああ、またしけたイラストで申し訳ない……。
思い入れが過ぎるとよけいにうまく描けません。ファンの方、許して。

スティーブン・キング原作のこの物語は有名です。実は悲劇的な苦痛に満ちた、それなのにあまりにも主人公が魅力的で崇高なこの話を読んでいたので、ドラマを見るのは耐え難いと、今になるまで見ていませんでした。

でも、すでにシーズン4が始まり、まだまだ本国アメリカでは続いている模様。だったら見てもいいかなと(笑)。そして、あらゆる設定が原作とは違っておりました。

ジョニー・スミスは平凡な高校教師。サラという婚約者と結ばれた夜、帰宅途中に交通事故に遭った。彼は6年昏睡状態に陥り、だれもがその死を覚悟していた。
だが、ジョニーは目覚め、そして目覚めたばかりだというのに、彼には人(物)に触れると過去や未来のショッキングな映像が見えるようになっていた。

砕けた骨の代わりに太ももにボルトを入れられ、長い間眠っていたジョニーは立つこともできず、それでも良い理学療法士との出会いによって、杖をついて歩くことができるようになった。
眠っている間に母は亡くなり(父はすでに他界)、最愛の恋人は他の男性と結婚して、なんとジョニーの息子を育てていた。
すべてを失ってしまったジョニーは耐え難い孤独に陥り、身体を苛む痛みとも戦っていかねばならない。そして、飛び散ったという脳の一部に新たに現れた「デッドゾーン」
その映像は、ときに惨殺された人の姿であったり、大量殺戮であったり、大災害であったりと、見るたびにジョニーを苦しめる。
知った以上は救いたいと、不自由な身体で頑張るジョニーに、「起きてはいない出来事」を信じる人は少ない。脳を損傷しておかしくなったと罵られながらも、自分の心のままに踏ん張るジョニー。

原作と違い、ドラマではサラの産んだ子供がジョニーの子であったことから、事情を知った上で結婚を申し込んだサラの夫、ウォルトはジョニーを受け入れざるを得ない。それでも、最初は不快な顔を丸出しにしていたウォルトだったが、ジョニーが殺人事件のヴィジョンを見て、それが本当であったことから、徐々に事件の真相を探るためにジョニーを頼りにしだす。

ここが、このドラマの救われるところで、ジョニーはひとりぼっちではないのだ。
ジョニーの復活を、複雑ながらも喜ぶサラが抱きついたとき、「君には6年であっても、僕にとっては昨日の続きだ」と、ふたりきりで会うことを戒める。
ジョニーは分別のありったけをサラや息子に向け、息子に近づくことなく見守るスタンスを変えない。そして、凛々しくそう告げた後、とても傷ついた、寂しい表情を浮かべているのだ。

ただ、もうひとつ大きく救われる人物がおり、それが理学療法士のブルースだ。
ブルースは、いつでもどこでもジョニーのそばにおり、今や誰より彼を理解してくれている。口は悪いが、ブルースがいなかったら、たとえサラやウォルトがいても、ジョニーは寂しさのあまりおかしくなってしまったのかもしれないとすら思う。

働きたくても、ヴィジョンをひっさげたジョニーを雇う人はいない。大金持ちだった母親の遺産で、そしてそれを自由に管理しているパーディ牧師のおかげで、ジョニーは無償で警察に協力できる境遇だ。
原作のジョニーはもっとリアルに、病院に多額の借金を残し、なんとか働かなくてはならなかったから、ドラマのジョニーのほうが救われる。そして、見ている側も、ああ、よかったと安心するんである。

ジョニーはある議員の手を握ったときに、世界が核戦争で崩壊するヴィジョンを見る。
そして、ここがこの物語の核として、長いドラマの合間合間に入り込む。
どうやら、原作とは違った道を歩みそうなので、ほっとして見られる。

時には呼吸すら止まるほどのヴィジョンに苦しみ、杖を手にしたジョニーは、その痛々しさ故に魅力的だ。
ただ、シーズン3あたりから杖なしで動けるようになりつつあり、シーズン4ではそれを捨てるエピソードが入る。
喜ばしいことかもしれないんだけれど、あの杖をついたジョニーがひとセットだっただけに、少し残念。大きな仕事を成し遂げる傍ら、サラを想い、息子を想い、身体を労らねばならないヒーローだからこそ、ここまで同情し、一体化して見たんだけどなあ。

これ、またエピソード別に書きたいくらい、おもしろいです。
未見の方は、ぜひ気の毒でかっこいい、杖をついたジョニーを見てください。

↓よかったらぽちっと押してね!

ブログランキング

JRANKホーム
ページランキング からんのホームページへ

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/08/22

エル・ドラド

エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫) Book エル・ドラド〈上〉 (新潮文庫)

著者:服部 真澄
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

蓮尾一生は、米国在住の翻訳家。
けっこう羽振り良く暮らしている彼は、過去に過ちを犯し、それを胸に秘めている。
大切な小さな友人アダムとの、いつもの待ち合わせの場所に、彼は来なかった。
まだ十歳にも満たない少年は、なぜか一家惨殺の犠牲者になっていたのだ。

蓮尾は新たな翻訳の交渉相手として、孤高の天才レックスに、その旨を申し出る。
彼は、鋭い切り口と卓越な頭脳を持って、ある企業の秘密を徹底的に探り、それを本にしようとしていたのだ。

アメリカ東海岸が私は好きなので、舞台がアナポリスというだけでも、ひどく惹かれてしまった。海軍士官学校のある、あの地だ。
そして、暗い記憶を持つ主人公蓮尾。
若く、美しく魅力的なレックス。

けれども、レックスは当初翻訳を許可するといいながら、それを翻す。
どんどん、深みにはまっていく行程が、目が離せないほど早い。

どうしても趣味に走りがち(笑)なので、いい男が出てくる物語に弱い。
多少、物語がどうであっても、いい男が出てくればはまるという、悪いくせがある私だけど、この蓮尾さんは魅力的だ。弱っちい、普通の男性なのが、またいい。
物語も、ぐいぐいと引き込まれてしまった。
ディテールの細かさに、翻訳物のような臨場感が溢れている。
読み始めは、翻訳物だと勘違いしていたほどだ。

そして、このレックスという天才の青年がまた(絶句)。
どうしたのよ、なにがあったのよ、と彼の無事を祈りつつ(笑)、一方的に思慕を感じつつ、物語の深みにはまってしまったようだ。

農作業の救世主でもあるような、巨大な企業「アグリビジネス」の仕掛ける、世の中をひっくりかえしそうなバイオテクノロジーも、いかにも今後起こりそうだし、それにギャングの組織などが絡んで、先が読めない。

すごいわ。
おもしろかったわ。
シリーズものにはならないのかしら? と、浅ましくも期待しつつ、なるほどねえ、とラストに突入。
ミステリーなので、あまり詳しく語れないところがつらいわ……。

ちょっと胸が躍るような、現実でありながら少し近未来的な、それでいて妙にそのあたりに登場人物が住んでいそうな、そういうのがお好きな方にはオススメ!!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/08/08

デッド・ゾーン

デッド・ゾーン〈上〉 (新潮文庫) Book デッド・ゾーン〈上〉 (新潮文庫)

著者:スティーヴン・キング,Stephen King,吉野 美恵子
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ジョニー・スミスという名前は、よく偽名に使われるほど平凡なんだという。
アメリカのドラマでも、その名を名乗られれば、「偽名だな」と、刑事たちは口にする。
その、ジョニー・スミスが主人公の――もちろん本名だ――悲痛な人生の物語。

ジョニーは、時折鋭い霊感じみたことを感じてはいるものの、平凡に生きてきたたった二十三歳の高校の教師だった。
生徒に慕われ、セーラという女性に恋をし、やっとそのデートにこぎ着けたその日、ものすごいラッキーな霊感を得てギャンブルで大勝ちをし、そして帰途、事故に遭った。
彼は四年半も眠り続け、奇跡的な目覚めを迎えたが、その後半年も身体を回復させるための手術を繰り返され、たくさんの注射を、薬を与えられてやっと退院する。
だが、リハビリで触れたトレーナーから、火事の予感を得たことから、自分が信じられない予知能力を持ったことを知る。
その力のせいで、ジョニーは誰からも触れられることを嫌がられ、奇異の目で見られ、なのに予感した悲劇を救うために、口を閉ざすことができない。
やがてそれはいくつもの殺人事件や、大きな災禍をもジョニーに見せることとなり、彼はそのことで救った人々、救えなかった人々の声に押しつぶされそうな苦悩を背負う。
災禍が起こって犠牲者が出るまで、人はそれを信じないのだ。

そして、運命的な政治家との出会い。
彼から予感される禍々しいイメージに、ジョニーは追い詰められていく。
人類滅亡の予感さえ与えるその男との対決を、決意することを躊躇うのは、信じない人たちからおそらく責められるであろう父親への思慕。

このジョニーが切ないのは、予感する能力は絶大なものなのに、超能力物語にありがちな、戦う武器すらない、足をひきずり、絶えず頭痛に苦しんでいる痩せた身体しか持たない男だからだ。
そして彼がもともと持っていた、純粋な心、正義感が、未来を知っても知らん顔をしてすませることをすれば、また彼を苦しめることになるのだ。

これは映画にもなったという。もう、古いものであるせいか、私はそれを見ていない。でも、現在AXNでテレビドラマとして、長い人気を誇っている。
原作よりも長く、もっと複雑に作られた物語は、原作のジョニーよりも安心感があるし、長く続いていることから、ラストへの思いも気楽に進んだ。

原作は、上下巻とはいえ短いものだ。
1980年代の、たくさんの実在の政治家たちの動向と、アメリカの当時の様子が克明に描かれている。政治に興味がなくても、聞いたことのある大統領や、それに関連した事件も丁寧に説明されている。
その中で、政治になど興味もなかったジョニーが、そこに眼差しを向けてやまない。
ジョニーと共に悩み、同情しつつも頑張れといつになく励まし、少し気を楽にして、などと登場人物の父親や医師のような気持ちにすらなって、ひたすら読んでしまった。
ジョニーへの想いが強すぎて、読後も寂しくて仕方ない。

休日には、デッド・ゾーンのドラマの一巻目を借りて来よう。
そして、これから長く活躍するジョニーを見て、寂しさを紛らわせよう。
なんだか、そんなセンチな気分になった、切ない物語でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/08/05

トランスフォーマー

Transformers_2 

いやはや、すごかったわ!
トランスフォーマーしていく車の動き。
走りながらロボットに変身して、そのまま走ったり宙返りしたりの身の軽さ。
美しい動きが、ただただ素晴らしかった。

実は、予告の段階で、地球上のあらゆる機械類が、邪悪な変身をして人類を襲うのかと、私はずいぶん思いこんで映画館へ出かけたもので……。
で、もっともっと楽しい映画だったのね。
子供から大人まで、さんざん愉しんでくれればそれでいいみたいな、温かさすら感じられる映画でした。

この、機械の塊――しかも車が部品というのが、すぐ分かる作りでありながら、なんだかとっても男前(笑)。
ちなみに、上のイラストの彼はオプティマス・プライム……のつもりでございます。イラストが下手だという、苦情はご勘弁ください。いつものことなので。

基本的に、この機械の生物がコピーできるのは、自分と質量が等しいものだけということで、普通乗用車から変身したものは小さいし、トラックから変身したものはでかい。
彼ら自身にも限界がある、というルールにのっとって、むやみやたらになんにでも化けることはできないわけだ。
バンブルビーという、主人公の黄色の車が変身したものが、人間に囲まれ、取り押さえられるシーンの切ないこと。
人間を傷つけるわけにはいかないと、それを見守るしかない仲間たち。
思わず涙すら出そうになってしまいました(笑)。

しかし、パトカーが変身すると、黒くて邪悪なのね(笑)。これって、おもしろい発見。
実はミリタリーオタク気味(といっても無知なんだけど)の私としては、シコルスキー型ヘリコプターはぜひとも味方で欲しかったなあ。
あの、大型のヘリ、そのまんまでも充分かっこいいんだもん。

Trans_dog2_2

それと、このチワワ君の愛らしかったこと。
足にギブスを巻いて、骨折の薬を食べるのを楽しみにしていて、お母さんに派手な首飾りをされているんだけど、機械だらけの映画なだけに、この小さい生身の温もりがほっとするというか、なんというか。必死で戦っているトランスフォーマーたちと、主人公である息子ををよそに、この犬と両親のおとぼけがいい感じでした。

なんか有り得ないといいつつ、嬉しかったのは個性豊かな主要人物が、ほとんど全員生き残ったこと。
たいてい、一個小隊の兵士たちはほとんど全滅気味になりがちなアメリカ映画なので、これはどきどきしつつ、誰も死にませんように、と祈った甲斐がありました(笑)。
安心して、お子様も見られるというわけですね。

ある意味、ヒーローものです。
邪悪な悪魔に地球の危機が……、というようなパニック映画とは違うので、拍子抜けしないで、彼らのキャラクターごと楽しく見るほうがいいかもね。
ちなみに、これってロボットの動き以外は、ほとんどCGは使ってないそうで、なるほどの迫力でした。車だけのシーンでも、ほれぼれ。

恐竜、ロボット、ヒーローもの大好きな私としては、大満足でありました!
スパイディ人形に続き、バンブルビーが欲しいと思っている、トイカンパニーの思惑通りの性格ですので、出費の続く夏であります……。

↓よかったらぽちっと押してね!

ブログランキング

JRANKホーム
ページランキング からんのホームページへ

| | コメント (1) | トラックバック (2)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »