ウエストポイントの幽霊
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ウェスト・ポイントの幽霊 (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1) (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1) 著者:ティモシー R.オニール |
アメリカ合衆国陸軍士官学校で、元将校だった作者による、実話に基づいた話だという。
士官学校第四十七師団の、独身寮に住んでいた生徒が失踪した。
それ以前から、その建物には子どもの笑い声や泣き声が聞こえているという噂はあった。
彼は夜な夜な悪夢にうなされ、幽霊が現れた、と悩んでいたという。
同室の男も、それを目撃し、相談した自分たちの上官すらも被害に遭う。
部屋は凍り付き、温度が急激に下がって窓硝子が割れ、将校らしき男の幽霊と、それ以外にも複数いるようだ。
教官でもある頭の固い、科学者でもある中佐サムは、それを科学的に解明して欲しいと校長から頼まれる。
様々な統計をとり、そこからうわさ話が事実なのかどうかを見極めろというわけで、とうぜんサムは幽霊など頭から信じてはいない。
そこで、もうひとり屈託ある雰囲気と憂い顔の同僚であるリーアム中佐にも協力を請う。
リーアムは自分の中にあるアイルランド人を意識している、どちらかというとサムと正反対の暗い雰囲気の男だが、しぶしぶ引き受けることになる。
人間関係が、意外におもしろい。
閉鎖的な士官学校の教官ということで、軍の将校でありながら完全に、軍人であるとも、もはやいえなくなったサムとリーアム。彼らは終身雇用の教師なのだ。
不器用なサムの妻である、マギーという女性がぶっとんでいて、いい人なのか激しい女性なのか、と言うほど活動的だ。
なにせ、夫を指輪のついた拳で殴り、とんでもない痣をこさえて「ぶちがかわいいわ」といってのける女なのだ。
けれども、この彼女のおかげでこの物語はかなり救われる。
夫の影となって、狭い居住空間に閉じこもってはいるものの、かなりな教養人で、幽霊の真相へ一番意欲的に取り組んでいく。
さすがに元将校が作者というだけあって、ディテールがかなり細かく、リアル。
一生踏み入れることなどない、士官学校の様子が見てきたように目に浮かぶほどだ。
で、幽霊なのだが、それほどは怖くはない。
物語も、どちらかというとリーアムやサムの日常の暮らしや、恋人、妻との関係などに関してが多く、それでも飽きることはない。
けれども、この幽霊騒ぎが彼ら登場人物の生き方に、なにがしかの影響を与えたのは間違いなさそうだ。
ちょっと違う世界を見てみるのも、楽しいかも。
男がいっぱいで、私は幸せでした(笑)
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