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2007/09/30

ウエストポイントの幽霊

ウェスト・ポイントの幽霊 (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1) (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1) Book ウェスト・ポイントの幽霊 (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1) (ハヤカワ文庫 NV オ 5-1)

著者:ティモシー R.オニール
販売元:早川書房
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アメリカ合衆国陸軍士官学校で、元将校だった作者による、実話に基づいた話だという。
士官学校第四十七師団の、独身寮に住んでいた生徒が失踪した。
それ以前から、その建物には子どもの笑い声や泣き声が聞こえているという噂はあった。
彼は夜な夜な悪夢にうなされ、幽霊が現れた、と悩んでいたという。
同室の男も、それを目撃し、相談した自分たちの上官すらも被害に遭う。

部屋は凍り付き、温度が急激に下がって窓硝子が割れ、将校らしき男の幽霊と、それ以外にも複数いるようだ。

教官でもある頭の固い、科学者でもある中佐サムは、それを科学的に解明して欲しいと校長から頼まれる。
様々な統計をとり、そこからうわさ話が事実なのかどうかを見極めろというわけで、とうぜんサムは幽霊など頭から信じてはいない。
そこで、もうひとり屈託ある雰囲気と憂い顔の同僚であるリーアム中佐にも協力を請う。

リーアムは自分の中にあるアイルランド人を意識している、どちらかというとサムと正反対の暗い雰囲気の男だが、しぶしぶ引き受けることになる。

人間関係が、意外におもしろい。
閉鎖的な士官学校の教官ということで、軍の将校でありながら完全に、軍人であるとも、もはやいえなくなったサムとリーアム。彼らは終身雇用の教師なのだ。
不器用なサムの妻である、マギーという女性がぶっとんでいて、いい人なのか激しい女性なのか、と言うほど活動的だ。
なにせ、夫を指輪のついた拳で殴り、とんでもない痣をこさえて「ぶちがかわいいわ」といってのける女なのだ。
けれども、この彼女のおかげでこの物語はかなり救われる。
夫の影となって、狭い居住空間に閉じこもってはいるものの、かなりな教養人で、幽霊の真相へ一番意欲的に取り組んでいく。

さすがに元将校が作者というだけあって、ディテールがかなり細かく、リアル。
一生踏み入れることなどない、士官学校の様子が見てきたように目に浮かぶほどだ。

で、幽霊なのだが、それほどは怖くはない。
物語も、どちらかというとリーアムやサムの日常の暮らしや、恋人、妻との関係などに関してが多く、それでも飽きることはない。
けれども、この幽霊騒ぎが彼ら登場人物の生き方に、なにがしかの影響を与えたのは間違いなさそうだ。

ちょっと違う世界を見てみるのも、楽しいかも。
男がいっぱいで、私は幸せでした(笑)

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2007/09/24

甘い人生

Amaijinsei

ホテルの支配人として、常に冷静に、あるいは冷酷に、物事を処理していくソヌ。
彼は、かつて恩を受けた社長に忠実な犬のように仕えている。
ある日、若い愛人を囲っている社長から、彼女が浮気をしているのかどうかを調べてくれるよう、命令を受ける。
ヒスという女性は、まだまだ若く、穢れすら知らぬように見えるが、ある意味奔放で、こっそりと恋人と会っていることを知る。
もしそうなら、「処分しろ」と、命令を受けていたソヌはどうしても冷酷ないつもの自分になれないことから、彼女を救ってしまう……。

ああ、知らなかったわ。
こんなに美しい東洋の人がいたとは(笑)。
すみません。イ・ビョンホン氏、たいそう美青年であるとは知っていながら、ただ美青年では惹かれない私……。
でも、はっきりと思い知らされました。
華麗な蹴りを見せてくれる、アクションの美しさ。
そして、暗い目をして表情を抑えたような、孤独感溢れる姿。
満足いたしました。

物語に関しては、ちょっとどうなの、ひどいじゃないのさ、とぶつくさいいたくなるほど残酷。
ソヌがいったい、なにをしたというのか?
そこまで? という、驚愕のリンチ。
血みどろのソヌは、きっと心の中で何度も何度もそう思っていたのだろう。

「どうして?」
と、最期に聞く彼の心の裡がとても切ない。
いたぶられ、半殺しの目に遭ったことと、心に負った傷のせいで、後半痛ましいまでの顔で戦いを貫くソヌ。
ヒスという、女性に惹かれていたのだろうか?
でもあんた、なにもそれほどの女かい? などといってはいけないのだ。
だって、これまでひたすら硬派に生きてきたらしい、ソヌにとって、初めての恋に違いないのだから。
けれども、彼女との関わりはほとんどない。
ないが故に、つらい。

甘い人生というタイトル、どうなの?
原題にはビターという言葉がはいっているけど、そのほうが正解かなあ。
香港映画のマフィアものに比べると、ちょっと説得力にどうかと思ったりもしたけど、思うたびにビョウホン様の顔を見て、ま、いいかと胸を熱くさせておりました(笑)。

いずれにしても、彼なしにはおそらくつまんない映画になってしまったかもしれないなあと思いつつ、かなり、堪能いたしました。

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チェーンレター

チェーンレター (角川ホラー文庫) Book チェーンレター (角川ホラー文庫)

著者:折原 一
販売元:角川書店
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「不幸の手紙」って、あったよね?
○日以内に、○通の手紙を、同じ文面で出さなければ不幸が訪れますよ、というやつ。
私も一度受け取ったことがあって、子供だったので怖くて、でもそれを友達に送るのも怖くて、どうしようと半べそをかいていたら、父が「こんなもんは捨てろ」と、びりびりに破いてしまった。
ああ、不幸がきたらどうしよう、と怯えた数日を送ったものですが、別になにごとも起こりはしませんでした。

その、「不幸の手紙」バージョンの「棒の手紙」が来るわけですね。
「これは棒の手紙です。この手紙をあなたのところで止めると必ず不幸が訪れます。二日以内に同じ文面の手紙を五人に出してください」
というわけで、主人公千絵は、自分の不仲の妹と、四人の友達にそれを書いてしまう。
そして、それはいつの間にか広がって、あちこちで「棒」に惨殺された遺体が発見されていくのだ。

怖い。
「不幸」のはずが、なぜ「棒」なのか?
「棒が来ます」といわれてもぴんと来ず、笑い飛ばしてしまう人々がいて当然だ。
けれども、その「棒」で殺人事件が起きていたとしたら……。
悪いけど、私も必死で誰かに書いてしまうのかもしれない。
それとも、そんな他人様に迷惑はかけられないわ、とかなんとかぐずっているうちに、うしろからビュンビュンという棒が振り回される音がするんだろうか……?

身近な「不幸の手紙」が本当になったら……。
という、恐怖がたまらない。
そして、それが「棒の手紙」から、またもや新たなバージョンへと変化していくとしたら……。

怖いけど、一気読みです。
まだまだ暑い日が続く、この夏の終わり。
ホラーが足りなかった人にはオススメ!

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2007/09/17

吸血蟲

吸血蟲 (角川ホラー文庫 124-1) Book 吸血蟲 (角川ホラー文庫 124-1)

著者:北上 秋彦
販売元:角川書店
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ある村がふたつの台風で社会から閉ざされてしまった。
父や母が、あるいは姉や弟が、無惨な姿でゾンビのように徘徊する。
彼らは、人間の血液に誘われ人を襲い、血を吸うのだ。
村が全滅してしまう。

彼らはなんなのか?
吸血鬼伝説との関わりは?

いやあ、おもしろかったです。しかも怖い。
ゾンビのように死体になってしまった人の、口の中からはまるでエイリアンのように
虫の親玉が牙を剥く。

圧倒的なのは、古来の吸血鬼に関しての、科学的検証場面。
なぜ、彼らはにんにくを怖がるのか。
なぜ、強い日差しが皮膚をただれさすのか。
暗闇に歩き、明るい場所を嫌うのか。
果ては、十字架や聖水を恐れるわけまでが、なるほどね、と思ってしまう。
でも、ここに出てくる吸血の化け物たちは、十字架は恐れないだろう。
ロマンチックな吸血鬼伝説とはおよそかけ離れた、ゾンビのような姿。
そしてその姿になった理由、死んでなお動いている理由も明らかになる。
ゾンビの映画などで、なぜ彼らが人を襲うのかは謎だが、この物語の中の
化け物たちには、ちゃんと血を欲する理由があるのだ。

解説にもあったけれど、小野不由美さんの『屍鬼』と似ているようで、まるで違った。
吸血鬼ものというよりも、ゾンビものが好きな人にはオススメです。

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2007/09/13

チャイナ・ウォー13

Dragon_3

Book チャイナ・ウォー13 (二見文庫―ザ・ミステリコレクション)

著者:ボブ メイヤー
販売元:二見書房
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デイブ・ライリーは米陸軍特殊部隊チーム3の作戦担当下士官、一等軍曹。
彼らは、ある任務の秘密命令を受け、中国へ潜入することになった。
中国の石油パイプラインを破壊するという任務だが、交戦中ではない国を攻撃することに違和感を感じつつ、潜入を図る。
その過酷な任務のために、今は作戦本部に勤務しているかつての上官、ミッチェル大尉を口説いて隊長となってもらうライリー軍曹。
しかし、その任務には、思ってもいない裏があった。
命からがら、脱出の出迎えを待つ彼らを救出に向かう予定など、軍にはなかったのだ……。

いやあ、映画を見ているかのような臨場感でした。
武器弾薬や作戦などなにも知らないにもかかわらず、ものすごく緻密な描写。
そして、魅力ある人物描写。
ばりばりの特殊部隊下士官であるライリーの男臭さ、そして、金髪のハンサムなミッチェル大尉。同じ軍の中で結婚したために離ればなれの地で勤務せざるを得ないミッチェルの妻、ジーン。
同じ陸軍のパイロットであるジーンは、彼を名字のミッチェルからとったニックネーム「ミッチ」と呼び、夫婦は別性である。
なんともいかした夫婦である。

特殊部隊という、一般の兵士よりもさらに鍛えられた彼らを襲う、たくさんの危機。
支え合う仲間たちとの友情。
いやあ、karanちゃん、大好きな世界です(笑)。

ひたすら中国の奥地に入り込み、誰にも見つからないよう、与えられた任務をこなそうとする純粋な彼らとは裏腹な事情が潜んでいる。。
戦闘ものは、女性にはけっこう難しいという観念を打ち破ってくれた、おもしろい一冊です。

とにかく、読み出すと夢中になること受けあいです。
さて、渋いライリー軍曹と、二枚目のミッチェル大尉、お好みは?
……って、やっぱそこかよ、わたし。

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2007/09/02

捜査官ガラーノ

捜査官ガラーノ (講談社文庫) Book 捜査官ガラーノ (講談社文庫)

著者:P. コーンウェル
販売元:講談社
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パトリシア・コーンウェルといえば、検死官ケイ・スカーペッタにははまりました。
そりゃもう、(検死官の仕事なんか知らないけど)リアルに思えて、スカーペッタという女性がかっこよくて。

で、新たなシリーズの始まりなんでしょうか?
いい男が好きな私としては、タイトルですでに手にとって、るんるんと帰ったわけなんですが(笑)。

ガラーノ捜査官は、いかした男だ。
南方系の、それはそれは美青年である。
彼はいつもブランドもののスーツをまとい、颯爽としている。ただ、もちろん一捜査官である彼がそんなに金持ちなわけはなくて、本当は中古品ショップで手に入れたものばかり。仕立てもものもいいものではあっても、新品を買ったわけではないのだ。
もちろん、家具も同じだ。
そして、おなじ手段で手に入れた車と、ハーレイのバイクを持っている。
……でもねえ、なにもそこまでこだわって中古品ブランドを身につけなくてもぉと私なんか思うんだけど、何度も何度も「中古品ショップで」というくだりが出てきて、そこまで繰り返さなくてもいいじゃない、ガラーノ、気の毒とか思ったりしましたが(笑)。

彼は科学捜査に関する授業を受けに行くよう、上司から指示される。
彼女は、上昇志向の強い女性だが、その企みの一環として、ガラーノに二十年も前の事件を掘り起こして、操作するよう指示する。
だが、そのファイルさえもどこにあるか分からず、その文句をいいに彼女の家に行った時、レイプ現場に遭遇する。
殺されそうになる上司を守るために、ガラーノは銃を撃った・・・。

ちょっと派手な主人公の割には、地味目の話です。本も薄いし。
これがシリーズのスタートだとすると、今後もっとど派手な活躍をしてくれんじゃないかなあと、期待はしてるんだけれども。

ちょっと期待はずれだったかな~という気もしないではないのよねええ。

で、まあキャラにはまる私としては、次回におおいに期待ということで。

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